「国民による国民のための医療の実現」の支援を目的とし、国民がインターネット上で見つけやすい医療情報メディア

第四章 それぞれの不整脈の特徴 上室性頻拍

上室性頻拍とは、睡眠不足や過労などのストレスにより速い頻脈が起こる。

症状

上室性頻拍とは、頻拍の発生部位が房室接合部より上部の洞結節や心房筋、房室結節などが関係している頻拍の総称です。
なお、WPW症候群にともなう上室性頻拍(房室リエントリー性頻脈)については、後段で詳しく説明しようと思います。

上室性頻拍は基礎心疾患のない人に多く、睡眠不足や過労などのストレスにより、通常1分間に120~200拍という速い頻脈が起こります。

発作にともなう典型的な症状は、突然始まり、突然停止する、脈が速くなる動悸があります。また、胸苦しさや、冷や汗をともなうことがあります。脈拍が異常に速くなるため、1回に送り出される血液の量が少なくなり、血圧が急激に低下し、目の前が暗くなり、意識がなくなることもあります。上室性頻拍になると、心房から尿を出すホルモンが出て、尿が近くなるなどが特徴的です。

上室性頻拍の発作は、1分以内で止まるものから、数日間続くこともあり、発作が長い時間続いた場合、心不全を起こしたりすることもあります。頻拍が短時間の場合やレート(心拍の速さ)が遅い場合には、症状が出ないこともあります。

上室性頻拍は、その起こり方によって、治療法が変わりますから、どのような起こり方をしているかを調べ、十分理解することが大切です。

原因

心室細動には普通、重症の基礎疾患があると考えられています。たとえば、心筋梗塞のような冠動脈疾患、拡張型心筋症、弁膜症などの基礎疾患などです。しかし、まれに特発性心室細動といって、基礎心疾患のない心室細動があり、最近非常に注目されています。

そのなかには、昼間の運動時、興奮時、緊張時などと関係なく、夜間の睡眠中や安静時に起こるものもあります。よくいわれる「ポックリ病」なども、特発性心室細動と緊密な関係があるとみられています。このタイプの心室細動の症例は欧米には少なく、アジア、とくに東南アジアに多いとされています。

治療

ストレスの影響を受けて発作が起こりやすいので、期外収縮と同じように、日常生活を改善してストレスを除去しなければなりません。精神的ストレスや肉体的ストレス、飲酒、喫煙、睡眠不足、過労、カフェインの取りすぎなどの誘発因子は、みずから積極的に取り除く強い意思が必要です。

上室性頻拍の応急処置として、副交感神経を刺激する方法があります。

たとえば、眼球圧迫や頸動脈マッサージ(これらはしろうとには危険なため医師のもとで行う)、また一般的にかんたんにできる方法として、冷水を飲む、大きく息を吸い込んで口と鼻を閉じてりきむ、指をのどに突っ込んで嘔吐する、冷たい水に顔をつける、ひざを抱えて前かがみになる、などが効果的です。

これらの方法によって、副交感神経が刺激され、房室結節が抑えられ、興奮の旋回が止まるのです。しかし、発作が長時間続くようなら、病院で発作を止めてもらう必要があります。

その場合、発作を止める方法として、3つの方法があります。

  • ①迷走神経を刺激する(眼球圧迫など)。
  • ②薬物療法=多くの抗不整脈薬のなかでもATPからベラバミル、ジルチアゼム(Ⅳ群薬)の静脈注射でほとんど止まります。
  • ③電気的治療法=それでも止まらないときには、電気ショックをかけたり、リエントリーの部分に抗頻拍ペースメーカーや食道ペーシングを使って、電気的刺激で止める方法もあります。


ここで、抗頻拍ペースメーカーと食道ペーシングについてかんたんに説明しておきましょう。何度も述べるように、頻拍発作の多くは、リエントリーで起こります。旋回路を興奮が旋回しているそのタイミングをとらえて(興奮が通ったあと)、電気的刺激を送ると、リエントリーは止まります。抗頻拍ペースメーカーは、頻拍発作が起こったことを探知して、自動的に電気的刺激をタイミングよく送ることで頻拍発作を止めます。

食道ペーシングは、口から食道に電極リードを入れて、通電して右房を刺激する方法です。

予防

上室性頻拍の予防法について説明しましょう。

前述のように、ストレスと上室性頻拍発作の関係は深いものがありますから、予防法の第一はなんといっても、積極的なストレスの除去です。また、寝不足、不規則な生活、飲酒など、ライフスタイルの改善も大切です。

第二は、抗不整脈薬を使った予防法です。Ⅳ群薬のベラパミル、Ⅱ群薬のベーター遮断薬、Ⅰ群薬のピルシカイニドやタンボコールなどがよく使われています。ただ、長期間にわたって服用することは、それ自体が日常生活の制限や、生活の質を低下させますし、ストレスなどが強いと薬では予防できないこともあります。発作が起こる頻度が1年に数回あるかという場合には、発作が起こったときにⅠ群薬、あるいはⅡ群薬、Ⅳ群薬を用いて頓服的に止めることもあります。

第三の方法は、カテーテルアブレーションによる根治療法です。これは、遅伝導路を高周波通電で焼き切るもので、90%以上の高い成功率です。

その合併症としては、完全房室ブロックとなり、ペースメーカーの埋め込みが必要になることもあります。その合併症を起こす割合は約0.5%ですが、病院によっても異なりますので、十分な説明を受け、同意すること(インフォームド・コンセント)が必要です。

心電図
上室性頻拍の心電図の特徴は、通常は正常洞調律にくらべてQRS波の幅は狭く、間隔は規則正しいのですが、その回数がとても速くなっています。(通常1分間120~200拍)。P波は認められる場合と、はっきりとは認められない場合があります。
著者の紹介会社概要お問い合わせ
ページトップへ