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第四章 それぞれの不整脈の特徴 心室細動

心室細動は致死的不整脈と呼ばれている。

症状

このサイトでは、たびたび「心室細動は突然死につながるもっともこわい不整脈」であるという説明が出てきたと思います。心室細動は「致死的不整脈」ともよばれますが、ここでもう一度、心室細動について整理しておきましょう。

心室細動は、心室全体が電気的なけいれんを起こし、心臓は止まった状態になります。このため心臓から全身に血液が送り出されなくなります。したがって、血圧はただちにゼロとなり、短時間で循環不全の状態になり、やがて死に至るのです。

心停止の状態になると、時間の経過とともに、次のような状態で死に至ります。
5~10秒/意識がもうろうとなる。
10~15秒/意識消失発作(意識を失う)が起こる。
2~3分/脳細胞が不可逆性(ふかぎゃくせい=2度と元に戻らないこと)の変化をきたし、死に至る。
心臓性突然死の80~90%は、心室細動が原因といわれています。

原因

心室細動には普通、重症の基礎疾患があると考えられています。たとえば、心筋梗塞のような冠動脈疾患、拡張型心筋症、弁膜症などの基礎疾患などです。しかし、まれに特発性心室細動といって、基礎心疾患のない心室細動があり、最近非常に注目されています。

そのなかには、昼間の運動時、興奮時、緊張時などと関係なく、夜間の睡眠中や安静時に起こるものもあります。よくいわれる「ポックリ病」なども、特発性心室細動と緊密な関係があるとみられています。このタイプの心室細動の症例は欧米には少なく、アジア、とくに東南アジアに多いとされています。

治療

このように、心室細動が起こると、1秒をあらそう状態になります。ただちに心臓マッサージを行わなくてはなりません。それを正しく行えば、正常の心臓から送り出される血液の量の3分の1は確保できます。そのあいだに、電気的除細動器を使って、電気ショックをかけ、心室細動を取り除く以外、方法はありません。

電気的除細動器というのは、みなさんもテレビドラマや映画のワンシーンでみたことがあるのではないでしょうか。200ジュールから300ジュールの強力な直流通電を瞬間的に流し、患者の体はその瞬間、ベッドの上で跳ね上がります。しかし、患者は意識がありませんから、苦痛は感じません。

わが国では、医師以外が医療行為をすることは法律で禁止されていますが、数年前から救急隊の救急救命士や看護師も、電気的除細動器を使って電気ショックをかけることができるようになりました。そのために、救急車が出動したときの救命率は飛躍的に向上したといわれています。

その意味でも、前述したように、植え込み型除細動器は画期的な治療法です。いつ、どこで、心室細動が起こっても、瞬間的に機械が感知して、自動的に電気ショックがかかります。わが国でも、ますます普及することでしょう。

また、だれでもできる心蘇生術(心臓マッサージ)は、ぜひ覚えておきたいものです。

予防

心室頻拍の心電図の特徴は、QRS波形の幅が広く、異常な形であらわれてきます。3連発以上連続して出現し、100拍以内(30秒以内)に自然停止します(非持続性心室頻拍)。

持続性心室頻拍の場合には、抗不整脈薬を静脈注射するか、電気ショックによって、正常のリズムに戻します。心拍数は1分間に100以上、通常120~200拍にもなります。また、持続性心室頻拍では、QRS波に先行するP波はみられません。

心電図
心室細動の心電図は、P波、QRS波、T波の区別がつかない奇怪な連続波形を示します。まるで、万年筆やボールペンを買ったときにインクが出るかどうか試し書きをしたときのようなデタラメな線を描きます。これらの形、振幅、間隔はまったく不揃いです。そして、1分間に150~500回の不規則な波が出現します。発作直後は心室波の振幅が大きく、時間の経過とともに振幅は小さくなります。
コラム だれでもできる心臓マッサージ

心室細動は、どこで起こるかわかりません。その唯一の確実な停止方法は電気ショックで、そのためには電気的除細動器がなければなりません。では、どこで心室細動が起こっても対処できる治療法はないのでしょうか。

心室細動になると脳への血流はゼロになり、2〜3分続けば脳細胞はもとに戻りません。ただちに脳への血液を維持するために、前胸部をこぶしで強く打つと心室細動が停止することもあります。心臓マッサージを正しく行えば、脳の血流は十分に保つことができますし、腎臓や心臓などの重要な臓器にも十分な血液を送れます。私は心室細動を起こす可能性がある患者さんの家族には心臓マッサージの方法を徹底的に指導しています。そうすれば万が一、心室細動が起こっても、心臓マッサージをして自動体外式除細動器(AED)を運んでもらえれば、電気ショックで救命が可能になります。心臓性突然死を救うには心臓マッサージおよびAEDによる心蘇生術を一般の人に広く啓蒙、普及させることが大切だと思っています。

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