「国民による国民のための医療の実現」の支援を目的とし、国民がインターネット上で見つけやすい医療情報メディア

第四章 それぞれの不整脈の特徴 心室頻拍

心室頻拍の治療法は、基礎心疾患があるかないか、持続性心室頻拍であるか非持続性心室頻拍であるか等の組み合わせによって大きく変わってくる。

心室頻拍とは、ヒス束分岐部より下の心室に興奮(命令)の発生源があり、1分間に100拍以上のレートで、QRS波形が3つ以上、連続して続くものをいいます。ただし「3連発以上」というのは医師の間でも議論のあるところで、はっきりとした定義として確立しているわけではありません。

前項で述べた「ラウンの分類」を思い出してください。Ⅳbでは「期外収縮が3連発以上続く」とありました。しかし、心室頻拍は「6連発以上」としようとする考えもあります。

また、心室頻拍は、持続時間で次の2つに分けられます。

  • ①非持続性心室頻拍
    3連発(6連発)以上続き、100発(60秒とする定義もあり)以内に自然停止するもの。
  • ②持続性心室頻拍
    100発以上(30秒以上)持続するもの。


持続性心室頻拍は、血圧の低下、めまい発作、失神発作などのアダムス・ストークス症候群などがあり、それが続くと、心不全や心室細動へと移行します。ですから、持続性心室頻拍は、心室細動の次に位置する重症の不整脈です。

また、心電図のQRS波形から、次のように分けることもあります。

  • ①単形性心室頻拍
    心室頻拍中のQRS波形は一定しているもの。
  • ②多形性心室頻拍
    1拍ごとにQRS波形が変化するもの。
症状
心室頻拍は、次のような激しい症状を起こします。
動悸、胸内苦悶感、冷や汗、血圧の低下、めまい発作、失神発作、心不全など。
原因
心室頻拍は、心筋梗塞などの冠動脈疾患や心筋症などの基礎心疾患にともなうことが多いのですが、基礎心疾患のない人にも起こります。非持続性心室頻拍は、基礎心疾患のない人に起こることも少なくありません。
治療

心室頻拍の治療法は、基礎心疾患があるかないか、持続性心室頻拍であるか非持続性心室頻拍であるかでは、大きく異なります。

もっとも多くみられる、基礎心疾患のない非持続性心室頻拍の場合は、症状の比較的少ない軽いもので、アダムス・ストークス症候群を起こすことも、心不全を起こすことも少ないといえます。

ただ、基礎心疾患がなくてもQRS波が多形性(たけいせい)であったり、単形性(たんけいせい)であってもレート(心拍の速さ。1分間に160回以上)が非常に速い場合は、アダムス・ストークス症候群を起こすことがあります。

このように、「持続性か非持続性か」、「基礎心疾患があるかないか」の組み合わせで、治療法は大きく変わってきます。また、症状の種類、たとえば動悸だけなのか、それともめまいや失神発作などのアダムス・ストークス症候群のような激しい症状があるかないかでは、おのずと治療法も変わってきます。

◆基礎心疾患がない非持続性心室頻拍の治療法
*症状がないか軽い場合
ライフスタイルの改善で収まることもあるが、Ⅰ群の抗不整脈薬か、ベーター遮断薬を使用。
*症状が強い場合、とくにアダムス・ストークス発作のある場合
入院して精密な検査が必要。

◆基礎心疾患がない持続性心室頻拍の治療法
持続性心室頻拍は、抗不整脈薬の静脈注射か、電気ショックをかけて止める。症状の程度にかかわらず、入院して精密な検査と治療が必要。ホルター心電図や電気生理学的検査を用いて、有効な治療法を決定します。

現在では抗不整脈薬のみならず、カテーテルアブレーション(体に電極を取り付けて高周波通電する治療法)が非常に高い有効性を示しています。

心室頻拍では、興奮の発生源が右心室、左心室の2種類ありますが、そのどちらにも成功率は90%以上と向上しています。カテーテルアブレーションは、高い成功率と安全性をもつ根治療法として、普及しています。

◆基礎心疾患がある心室頻拍の治療法
非持続性、持続性にかかわらず、心筋梗塞や拡張型心筋症のような重症の基礎疾患、とくに新機能の低下がある場合には、心室細動に移行して突然死につながる可能性があるため、入院して精密な検査が必要です。

突然死の危険性が高いと判断されれば、植込み型除細動器(参照ページ)を入れるという治療方法になります。それとともに基礎心疾患への治療を強化する(ベータ遮断作業など)ことも必要です。

しかし、植込み型除細動器を入れても不整脈を予防することはできません。心室頻拍の頻度が多い人はⅢ群薬のアミオダロンを追加したり、カテーテルアブレーションを行うこともあります。

心電図

心室頻拍の心電図の特徴は、QRS波形の幅が広く、異常な形であらわれてきます。3連発以上連続して出現し、100拍以内(30秒以内)に自然停止します(非持続性心室頻拍)。

持続性心室頻拍の場合には、抗不整脈薬を静脈注射するか、電気ショックによって、正常のリズムに戻します。心拍数は1分間に100以上、通常120~200拍にもなります。また、持続性心室頻拍では、QRS波に先行するP波はみられません。

著者の紹介会社概要お問い合わせ
ページトップへ