抗不整脈薬は、不整脈を抑制するという効果がある反面、強力な副作用もあります。医師は、たえず薬の効果と安全性を比較検討しながら使用しています。薬の効果を確認するのと同じように、安全性についても注意を払っているということです。
では、抗不整脈薬にはどのような副作用があるのでしょうか。
もっともこわいのは、不整脈を防ぐ薬が不整脈を誘発するという、催不整脈作用があることです。頻脈性不整脈を抑制するための薬が、かえって徐脈性不整脈を起こしてしまうことは当然考えられます。ところが、頻脈性不整脈を予防するための薬が、頻脈性の不整脈を起こすということがあるのです。たとえば頻脈性の不整脈に使用する薬(Ⅰ群薬やⅢ群薬)の副作用として「QT延長症候群」(書籍134p)のように特殊な心室頻拍が起こり、心室細動を引き起こし、アダムス・ストークス症候群から突然死という過程をたどることもあります。
また、心不全を起こしたり、血圧を下げたりすることがあります。
一方、心臓や血管以外の副作用として、代表的なものにアミオダロンの肺毒性(間質性肺炎など)があり、アンカロンは毒薬に指定されています。抗不整脈薬以外の薬と同じように、肝機能や血液などへの副作用があります。