ところで、先に述べたとおり、こわい不整脈かそうでないかということは、単にそれが命取りになるかどうか、ということだけではありません。
直接突然死に結びつくことはなくても、1日のうちに何度も脈が速くなって動悸がする、胸苦しいなどということがあれば、患者自身は強い不安感をもちます。そうなると恐怖感でうつ状態になり、QOL(生活の質)はきわめて悪くなります。
このような状態が毎日続くと、いずれ、いわゆる広場恐怖症(ひろばきょうふしょう=他の人たちが話しているところに入っていけないなどの心理状態)や出社拒否症などの強度のノイローゼとなるケースもあり、そうなると心療内科や精神科での治療が必要になります。
したがって、自分の不整脈を正しく知ることは患者にとって必要なことですし、医師の立場としても正しく診断し、患者さんの不安を取り除いてあげる必要があるわけです。