医者も患者も「こわい」不整脈という言葉をよく使います。厳密にいえば、不整脈によって生命予後(生命にかかわること)が悪くなることはもっとも「こわい」ことといえます。しかし、生命にかかわらなくても、不整脈によって生活の質(QOL)が落ちることも、広い意味では「こわい」ことになります。
このサイトでは「こわい」不整脈という言葉を、一般的に生命予後が悪くなる、あるいはそこまでいかなくても重篤な不整脈という意味で使っています。
ところで、自分の不整脈はこわいものなのか、あまり心配しなくてよいものなのかという点は、たいへん気になるところです。そこで、こわい不整脈とこわくない不整脈について解説したいと思います。
まず最初にお話ししておきたいことは、すでにふれたように「不整脈イコール“病気”ではない」ということです。健康な成人でも、あるいは元気な子どもでも、ホルター心電図などで24時間、つまり約10万回の心臓の活動を記録すれば、程度の差はあるにせよ、なんらかの不整脈がみられることが多いものです。こうした不整脈を本人が自覚することもありますが、まったく自覚しないことのほうが多いのです。そういう意味でいえば、ほとんどの不整脈はこわくない不整脈といってよいものです。
しかし、ときに病気として治療が必要な不整脈があり、そのなかには、まれにこわい不整脈が含まれているのです。「まれに」というのはどのくらいかといいますと、一般的には0.1%以下です。しかし、まれであったとしても、こわい不整脈にはどういうものがあるのかということを知っておくことは必要だと考えます。