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第一章だれにでもわかる不整脈と心電図 さまざまな心電図

心電図は、心臓の電気的興奮を把握します。

心電図には、いくつかの種類があります。心臓の動きを正しく把握し、それを記録し、さまざまな病気や疾患に対して適正な診察と治療方法を検討するためには、それぞれの特長が発揮できる心電図を使うことが必要です。
12誘導心電図

一般的によく使われる心電図です。この機械は12種類の波形を記録し、さまざまな角度から心臓の電気的興奮を把握するためのものです。右手、左手、右足、左足に1つずつ、前胸部に6つ、合計10個の電極をつけ、12種類の心電図をとります。なぜ12種類も必要かというと、心臓の電気的な興奮を立体的にみる必要があるからです。検診などのときには、おおむねこの12誘導心電図が使用されます。

WPW症候群や右肩ブロックなどの常に存在する不整脈は、この12誘導心電図でも把握できますが、一過性のものや発作的に表れる不整脈を検査することは困難です。その場合、次に紹介するホルター心電図が非常に注目されています。

ホルター心電図

ホルター心電図は24時間、日常生活における心臓の動きをテープに記録するものです。これと日常生活の行動記録をつきあわせることで、1日に約10万回の拍動をくり返す心臓で、いつ、どういうふうに不整脈が出るかを診断することができます。このホルター心電図が普及したおかげで不整脈の発見率(検出率)は飛躍的に向上しました。

たとえば成人の健康診断で12誘導心電図を使い、30秒から1分間くらいの心電図をとったとしましょう。その場合は、不整脈のなかでも比較的多いとされる期外収縮でさえ、検出率はわずか1%程度に過ぎません。ところが、ホルター心電図で記録すると、心臓病などが特にない、いわゆる健康な成人でも、約50%から70%の人に期外収縮が見つかるのです。

ホルター心電図のひとつに、「イベントホルター心電図」(携帯型発作時心電図)があります。これはホルター心電図のなかでも特殊なもので、2週間つけっぱなし(入浴時は自分で取り外し)にして、症状があったときに自分でボタンを押すものです。ボタンを押すまえの心電図と、ボタンを押したあとの心電図が、合計で5分間記録されます。ボタンを押す前後の最大5分間をどんどん記録していく一方で、それよりまえの記録は自動的に消していくので、メモリーは少なくて済みます。

このイベントホルター心電図は、不整脈の発作が1~2週間に数回の場合に効果を発揮します。

モニター心電図

映画やテレビドラマで、集中治療室の患者のそばにあるモニターに、心電図の波形が映っている場面をみたことがあると思います。これがモニター心電図です。

モニター心電図は、狭心症発作や重症不整脈を早期に発見し、緊急処置ができるように、長時間連続して心電図を監視するコンピューター自動解析装置です。前胸部に2個の電極をつけて心電図を記録します。

運動負荷心電図

運動をしたときに、どのような不整脈が出るかを診断するときに使います。狭心症など冠動脈疾患の診断にもよく使われます。

運動負荷心電図としてよく知られているテストに、2段の階段を一定時間上り下りしたあとに心電図をとる「マスター2段階テスト」があります。しかし、この検査では運動中の血圧や心電図をとることはできません。そこで、ベルトの上を歩くことで運動負荷をおこなう「トレッドミル検査」や、固定した自転車のペダルをこいで、おもに下肢に運動負荷をかける「エルゴメーター検査」などで、運動中の心電図を検査することがあります。

これらの検査は、不整脈を誘発したり、その症状がいっそう悪くなったりすることを引き起こすケースがあるため、緊急事態に備えて、必要な器具、薬品などを準備しておくことが必要です。

他にも、簡単な暗算などをさせて精神的なストレスをかける「情動負荷心電図」(じょうどうふかしんでんず)をおこなうこともあります。

体表面電位図
特殊な検査が必要なときに使われるものとして、体表面電位図(たいひょうめんでんいず)というものがあります。これは、前胸部、背胸部に約80~100の電極をつけ、心臓の電気現象を細かくコンピューターで分析するものです。
加算平均心電図
私たちの心臓の動きには、心電図では目にみえない(心電図には記録されない)ような非常に小さい電位(マイクロボルトの単位)があります。それをとらえて加算平均すると、ノイズと区別して記録されます。これを記録するのが加算平均心電図です。
電気生理学的検査
電気生理学的検査は、心臓のなかにカテーテルを入れ、心房や心室の小さい電位を記録し、電気刺激を加えて頻拍発作を起こさせたりして、不整脈の起こり方を調べたり、重症度や薬の効果の評価ができます。さらに人工ペースメーカーやカテーテルアブレーションや植え込み型除細動器などの治療が必要かどうかの判断に欠かせない検査です。
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