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第一章だれにでもわかる不整脈と心電図 不整脈を起こす3つの原因

不整脈の原因

では、不整脈を起こす原因とは何なのでしょう。その原因は次の3つに分けることができます。

  • (1) 洞結節以外から命令が出される場合。
  • (2) 命令が正常に伝わらない場合。
  • (3) 洞結節から命令は出ているが、1分間60回以下か100回以上の場合。


この3つの原因にもとづき、不整脈について説明していきましょう。個別の詳しい解説は第4章でおこないますので、ここでは不整脈の全体像を理解していただくための概要をご説明します。

(1) 洞結節以外から命令が出される場合

私たち専門家はこれを「刺激(興奮)生成異常」(しげき[こうふん]せいせいいじょう)とよんでいます。洞結節以外から出る命令というのはどのようなものがあるかというと、①心房から出るもの、②心房と心室の中間にある房室接合部から出るもの、③心室から出るもの――の3つに分けられます。

そして、洞結節以外からの命令が、どこから、どのように出てくるかによって、いくつかのパターンに分かれます。

基本である心臓のリズム(通常正常洞調律)に対し、命令が1個から数個早く出てくるものを「期外収縮」(きがいしゅうしゅく)とよんでいます。

この期外収縮は、心房から出る「心房性期外収縮」と、房室接合部から出る「房室接合部性期外収縮」があり、この2つを「上室性期外収縮」とよびます。それに対し、心室から出る期外収縮を「心室性期外収縮」とよびます。

期外収縮は、心室、心房など洞結節以外で命令が起き、早めのタイミングで収縮します。そのため、脈を余分に打ったり、心臓が十分に収縮できず脈がとんだように感じたりします。これは不整脈のなかでももっとも多くみられるものです。

早い命令が連続して出る(毎分100回以上、通常120から200回)場合を「頻拍」(ひんぱく)とよびます。これには次のようなパターンがあります。

心房から非常に早い命令が出る場合を「心房頻脈」、房室接合部から早い命令が出る場合を「房室接合部頻脈」といいます。それを合わせて「上室性頻脈」とよび、心房頻脈より早い頻脈を「心房粗動」(しんぼうそどう)、心室から早く命令が出るものを「心室頻拍」とよびます。詳しくは第四章で解説します。

次に、多数の部位から命令が出て、心房または心室がけいれん状態になると、心房または心室が血液を送り出せない状態になることがあります。これが心房で起こった場合を「心房細動」(しんぼうさいどう)といい、心室で起こった場合を「心室細動」といいます。心室細動では、心臓は停止状態となり、2~3分すると突然死となります。

このように洞結節以外から命令(刺激)が出る興奮異常の不整脈の多くは、脈が速くなるため「頻脈性不整脈」(頻脈性不整脈)ともよばれます。

不整脈の種類
興奮の異常はなぜ起きるか
頻脈発作のもっとも多い原因として考えられるのは、電気的興奮が一定の同じ場所をグルグル旋回するもので、「リエントリー」とよばれます。また、自動能を持たない(自分では興奮を作れない)心筋が異常な状態になると、電気的な興奮を起こすことができるようになるので、異常な自動能(誘発活動など)が生まれます。また、もともとの自動能がより活発になることもあります。
(2) 命令が正常に伝導しない場合

なんらかの障害があって、洞結節からの命令が正常に伝わらない場合、「ブロック」という言葉で表現され、それぞれの場所において刺激伝導の遅れや遮断があることを意味しています。そして、どこにその原因があるかによって、不整脈のタイプは違ってきます。

  • 1. 洞結節から出た命令が心房に伝わらない場合
    これは「洞房ブロック」とよびます。
  • 2. 心房と心室の間で命令が伝わらない、あるいは伝導が遅い場合
    これは「房室ブロック」とよびます。
  • 3. 右脚、左脚の部分で、命令が遅れるか、伝わらない場合
    これは「右脚ブロック」、「左脚ブロック」あるいは「左脚前枝ブロック」、「左脚後肢ブロック」などとよばれます。

詳しくは第四章で説明します。

これら刺激伝導の異常で起こるものは、脈が遅くなることが多いので「徐脈性不整脈」ともよばれます。

(3) 洞結節から命令が出ているが、1分間60回以下か、100回以上の場合

命令が洞結節から出ていても、脈が1分間に60回以下の場合は「洞性徐脈」(どうせいじょみゃく)といいます。これに対し、脈が1分間に100回以上の場合は「洞性頻脈」(どうせいひんみゃく)といいます。

心拍数は呼吸によっても変化しますが、その変動が大きい場合は「呼吸性不整脈」とよびます。

また、命令が生まれつき心房から心室へ正常の伝導以外のバイパスで伝わる、すなわち先天的に副伝導路を持っている人がいます。これは「WPW症候群」とよばれ、一般に1000人に1人から2人くらい存在すると考えられています。

最近、注目されているものに「QT延長症候群」(第四章に詳述)があります。これは興奮の伝導の異常ではなく、興奮の回復過程の異常で、先天性のものと、後天性のものがあります。

コラム 不整脈の原因となる心臓の病気

不整脈の原因となる心臓の病気(基礎心疾患)には、大きく分けて次のようなものがあります。

  • (1) 原因不明の心臓の筋肉の病気は「心筋症」(しんきんしょう)とよばれます。これには肥大してくる「肥大型心筋症」と、作業心筋が薄くなり、拡張してくる「拡張型心筋症」があります。
  • (2) 心臓の筋肉に血液を送っている冠状動脈(かんじょうどうみゃく)が硬化して、狭窄(きょうさく/せまくなること)したり、閉塞(へいそく/ふさがること)したりして、血液が心筋に送られなくなると、「心筋梗塞」(しんきんこうそく)や「狭心症」(きょうしんしょう)が起こります。これを「冠動脈疾患」(かんどうみゃくしっかん)とよびます。虚血性心疾患とよばれることもあります。
  • (3) 生まれつき心臓の構造に異常がある病気を「先天性心疾患」(せんてんせいしんしっかん)とよびます。
  • (4) 心臓の弁に異常がある場合を「心臓弁膜症」とよびます。
  • (5) 高血圧があり、心臓が肥大してくるものを「高血圧心疾患」とよびます。

以上、(1)から(5)までのいずれの原因でも、重症となり心臓が十分に収縮、拡張しなくなってくると「心不全」という状態を引き起こします。

とはいっても、不整脈の多くは心臓の病気を原因としたものではありません。その場合は「特発性」(とっぱつせい)とか「孤立性」(こりつせい)とよばれます。

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